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ぞうブロ~ぞうべいのたわごと

妄想を武器に現実と闘う、不惑のエンジニアのブログ

感動と驚愕の運動会〜果たされた約束

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リレーを走らない長男 - ぞうブロ~ぞうべいのたわごと (elep-peace.com)

いよいよ運動会本番。年長の長男にとっては最後の、最年少の次男にとっては最初の大舞台。

二日前まで二人とも風邪で発熱。嫁さんにもうつり、そもそも参加できるのか危ぶまれたが、前日夜になんとか全員回復。

そして迎えた決戦の日、晴れ。  

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久々に全学年同時開催のため、グラウンドは人がたくさん。

そんな中で、二人の息子達は、どんな姿を見せてくれるだろうか。

特に長男は、リレーで抜かれても負けてもいいから止まらず最後まで走ろうという約束を、守ってくれるだろうか。50%の不安と50%の諦めを、無事本番を迎えられた感謝で上書きする。

そういえば、昨年は観に来れなかったな。次男の扁桃腺の手術で病院に泊まり込んでいたから。僕にとっては、2年ぶりに生で観る長男の雄姿。

2年前の彼は、障害物競争もダンスも、一人だけ何もできていなかった。先生に抱っこされているか、棒立ちだった。もはや見慣れた姿だった。

今回の長男の仕事は、開会挨拶(二言だけ)。プログラムは、まずダンス。次に二人一組で棒をリレーする競技。そして問題のリレー。最後に運動会のフィナーレとなる手旗を使ったフラッグダンス。

盛り沢山だ。さあ今回はどうなるか。

 

開会挨拶。一人だけしゃがんで土をいじる長男が見えた。ああ、またかな。そう思っていると、出番が来て、彼はすっと立ち上がった。小さい声ではあるけど、はっきりセリフを言っていた。

今年は違うかも。少し期待が膨らんだ。

 

そしてダンスが始まり、長男達が入場してきた。

その時ふと、昨年の生活発表会が脳裏をよぎった---

発達障害(自閉症スペクトラム)と診断されている長男。演目は劇と歌だったが、一人だけ何もできず、何も話さず、気力なく棒立ち。まさに公開処刑。無慈悲なまでに思い知らされた、他の子達の違い。

その姿を見た僕ら夫婦は、打ちのめされた。発達障害とか自閉症スペクトラムとか大袈裟だ。それに、ここは比較的ちゃんとした幼稚園。周りの子達も凄い。でも、他の子とここまで違うのか。しかも年々、差が大きくなっている。これが、発達障害、自閉症スペクトラムなのか。なぜうちの子だけが。現実を受け入れるしかなかった。

そして決めた。幼稚園を代わろう。今の幼稚園は本当に素晴らしいところだし、できればここを卒園してほしい。それに長男には何ら罪はない。

でもずっと落ちこぼれの長男を、無理やりこのままにしておくのは可哀想だし、自信を無くすかもと思ったから。発達支援の教室に通い、転園候補をいくつも周り、ハンコを押す寸前だった。

だけど思いとどまった。代わってもよくなる保証はない。逆に人間関係がリセットされ、より悪くなってしまうかもしれない。

園長先生や発達支援の先生とも相談し、加配の先生をつけてくれることにもなり、最後の一年、彼をみんなでサポートしてくれることになった。僕達も彼の成長を見守ろうと誓った---

そうして迎えた、今日。

 

グラウンドに立つ彼は、クラスメイトのみんなと同じように、きちんと整列し、笑顔で踊っていた。他の子に遅れることはあるけど、一生懸命に踊っていた。

彼は間違いなく成長していた。

その姿に、僕は早くも、あふれる涙を抑えられなかった。「まだ早いよ」と、涙の嫁さんに笑われても、どうにも止められなかった。

二人一組の棒リレーも、苦手だと事前に先生から聞いていたけど、コンビの子がリードしてくれ、先生のサポートもあり、なんとか事なきを得た。

 

そして問題のリレー。正直、さっきのダンスと棒リレーで、僕は満ち足りていた。十分よくやったよ。リレーで止まってしまったとしても、全然いいよ。

4チーム。長男は第2走。僅差の1~3位集団から、1番でバトンを受け取った。でもバトンをもらうのにもたつき、3位になった。そして彼は後ろを振り返り、止まりかけた。

4位の子に抜いてもらうのを待ってから、走り出すのだろうか。練習ではいつもそうだと、事前に聞いていた。

しかし彼は、止まらなかった。

4位の子を待つことなく、前を向き、全力で走り始めた。お世辞にも足の速くない長男は、ほどなく抜かれ、4位になった。「ぬかれるの、いや」と言っていた彼は、抜かれても止まらなかった。最後まで一生懸命走り切り、次の子にバトンをしっかり渡した。

 

2日前、彼と交わした、男と男の約束。

抜かれてもいい。負けてもいい。だけど抜かれるのを待ってはあかんで。止まるのはだめやで。最後まで一生懸命走って、次の子にバトンを渡すんやで。

彼は見事に、僕との約束を果たしてくれた。順位なんて関係なかった。

走り終えた彼は、先生に頭を撫でられ、嬉しそうに飛び跳ねていた。

やったな。すごいやん。できたやん。僕は胸がいっぱいになり、目の奥がカーッと熱くなった。

横を見ると、嫁さんがボロボロと号泣していた。

特にリレーを心配していた嫁さん。僕はいうても男親。腹を痛めて出産し、葛藤の中、子育ての中心で毎日奮闘してきた母親の想いとは、比べ物になるはずもなかった。

 

そして最後、年長さんの一番の見せ場、フラッグダンス。運動会のフィナーレ。

長男が最年少のとき、はじめてこのフラッグダンスを見て、将来こんなことができるようになるなんて、全く本当に信じられなかった。

はたして年長になった彼は、先生や友達の助けをうけることもなく、最初から最後まで、一人できちんとやりきった。「怪獣の花唄(Vaundy)」と先生の笛に合わせた、旗の上げ下げ、移動、演技。歌を口ずさみ、時々はにかみながら僕に目線をくれる、そんな余裕も見せながら。

僕はもう、驚きと感動で、本当に心の底から感無量だった。まさかここまでできるようになるなんて。

こらえてもこらえても、こんなにこみあげるのかと思うくらい、どうにも止まらなかった。

これまでのいろんな出来事は、全部この日のためのフリだったんだなと思えた。

 

ちなみに初参戦の最年少の次男には、全く別の意味で感動した。

名前を呼ばれると一番大きな声で元気に返事。

「いちばん!いちばん!」と言っていたかけっこでは爆走(結果は2番)。

そしてダンスでは、最年少組でただ一人、ノリノリでキレキレのダンスを披露。

友達や先生を吹き飛ばさんばかりの勢いで踊り狂い、ダンスが終わると、出番を終えた大御所俳優ばりに、貫禄たっぷりに座っていた。

こいつはすげえぞ。大物になるぞ。

感動を飛び越え、ただただ驚愕の、圧巻のパフォーマンスだった。

 

無事、運動会は終わった。長男が笑顔で走ってきた。

よく頑張ったよ。えらかったよ。そう頭をくしゃくしゃに撫でると、彼ははにかみながら僕の背中に乗ってきた。そして貰った金メダルを自慢げに見せてくれた。先に終わって待ってた次男も金メダルをもらってたけど、隙あらば長男のを奪おうとしてて吹いた。

幼稚園の先生方、発達支援の先生方、サポートくださった皆様のおかげです。感謝しかないです。

 

夕食は、子供たちと約束していたくら寿司。

大好きなたまご、サーモン、ハンバーグにご満悦の長男。

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体力の限界を迎え、くら寿司に到着直前、無念にも寝落ちしてしまった次男。(翌日次男の大好きなサイゼリヤでリベンジ)

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みんなで乾杯。僕はノンアルコールだったけど、最高に美味しい一杯に、心から酔いしれることができた。

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正直子育ては大変。体力の限界なんてとっくに超えている。

でもこんな瞬間を貰えれば、全て吹き飛ぶ。今回の動画を見返せば、どんなことでも立ち向かえる気がする。

いろんなことを教えてくれ、最高の感動をくれた長男、次男。

二人とも、本当によく頑張ったよ。本当にありがとう。これからも元気で仲良くな。

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