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ぞうブロ~ぞうべいのたわごと

妄想を武器に現実と闘う、不惑のエンジニアのブログ

2人目の子供が産まれました。全記録、5分間の面会に込めた想い、長男への想い。

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2020年8月17日。コロナにも酷暑にも負けず、3250gの元気な男の子が産まれてきてくれました。

一人目の息子の時、ドキュメント風記事を書いたので、今回も書きたいと思います。

一人目誕生時↓

www.elep-peace.com

 

8月16日以前。

とにかく憎きは、コロナだった。私の職場でも通勤ルートでも、嫁さんの実家の街でも、そして今回の病院でも、コロナ陽性患者が発生。なので、出産時の立会い・面会は禁止となっていた。唯一、出産後に「1人だけ+5分だけ廊下で面会可」としてくれてたけど、コロナの状況が悪化すれば、いつどうなるか分からなかった。

面会できないだけならまだしも、心の隅にはずっと不安や心配があった。もしコロナに罹患したら。家族の中で自分が一番コロナに罹る確率が高い。万が一にも、絶対に何があっても、それは許されない。

7月のはじめに、嫁さん息子が義実家に帰り、本来なら貴重な、束の間の独身生活。だけど、基本的に、通勤は車、家と会社の往復だけ、ご飯は週末買いだめした冷凍食品を家で食べる、そんな日々を送っていた。もちろん断酒もしてた。

 

予定日が8月13日だったので、8月11~15日は、毎年帰っていた自分の実家ではなく、岐阜の義実家に寄せてもらい、神経をすり減らしながら、来るべき出産に備えた。しかし産気づくことはなく、最終日の深夜、一人帰阪。

その辺の経緯はこちらで書いています↓

www.elep-peace.com

8月16日

体調不良と翌日からの仕事で、悶々ゴロゴロしていると、

21:00。

おしるしが出たんだと、嫁さんから連絡。いよいよかと、身構えた。

8月17日  

1:52。

 破水して、入院になったよ。そう連絡があった。

(後で分かったことだが、先のおしるしは、破水だった)

今日産まれるのは、ほぼ決まりだ。

嫁さんはまだメールをする余裕があった。

個室が空いてなくて2人部屋になったよ。

家で横になってたら、息子がげんき?って言って、お腹を何回も何回もよしよししてくれたよ。

痛いけど、がんばるんだ。そう言っていた。

私は仕事を休むメールを上司に入れ、慌てて身支度をした。

3:00。 

大阪から愛知の病院へ、いざ出発。一人目のとき大失敗した教訓を生かし、まずガソリンを満タンにした。夜空には綺麗な三日月が輝いていた。

「陣痛きたかも」アプリから、ひっきりなしに通知が来る。苦しんでいる嫁さんが押しているものだ。嫁さんの陣痛は、5分間隔。結構短くなっている。

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4:00。

一人目の出産で34時間かかったことが脳裏をよぎり、一瞬血迷って、会社に在宅勤務用パソコンを取りに戻ろうとし、高速を降りた。が、やめて、高速に乗りなおした。そんなことをしてる場合ではなかった。

嫁さんからのラインは、

いたい、いたすぎる の言葉ばかり。

ラインを打つのもしんどいのだろう。

隣の陣痛室の人が、さきに分娩室に移動した、いいな。

その言葉とともに、嫁さんが自撮り写真を送ってきた。生気がなく険しい苦しそうな顔。思わず涙が出た。

涙が出るわ、とラインしたら、

いたすぎる、こっちも涙出る、怖いよ。とラインが来た。

でもまだ、慌てなくてよいからね。まだこちらを気遣う余裕があった。 

5:00頃。

名阪国道をひた走り、亀山SAで一瞬休憩。山越しに見える夜明けのオレンジの空が、とても綺麗で、感動した。

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明けない夜はない。終わらない陣痛はないよ。そうメールしようと思ったけど、やめた。

さっき分娩室に移動した人が産まれたらしい。赤ちゃんの泣き声が聞こえた。

うらやましい、次はわたしだね。

それを最後に、ラインがしばらく既読にならなくなった。

「陣痛きたかも」アプリの間隔は、3分になった。

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5:30。

病院に到着。

検温を受け、嫁さんのいるフロアまで辿り着いた。だけど、最初聞いてた通り、やはり立会いも面会も不可。この壁のすぐ向こうで、嫁さんが苦しんでいると思うと、胸が痛くなった。

担当の助産師さん?看護師さん?が教えてくれた。

「うまくいけば、あと1,2時間で分娩室に移動できると思いますよ」

ありがとうございます。でも、一人目の記憶がよぎり、そんなすんなりいくわけないと思った。

私は病院の駐車場の車内で待機しつつ、ひたすら無事を願い、パワーを送り続けることにした。 

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5:41。

いたい、今3〜4cm開いてる とライン。

5:45。

腰が痛い、おしてほしいよ と写真つきでライン。

でも、自分には、どうすることもできない。

どうしようもない無力感。悔しさ。そしてコロナへの怒りで、涙がこぼれそうになる。

6:25。

痛い眠い痛い眠い とライン。

6:38。

さっきの看護師さんの話をラインすると、

あれ?まだ1,2時間では産まれないからっていってたけどなぁ

とライン。急に素の調子になり、少しびっくりしつつ、だいぶ落ち着いたのかな?と思う。

続いて、zohbey 寝といてね とライン。

たしかに眠いけど、呑気に寝れるわけがない。

陣痛以外眠いけど、寝ると陣痛が遠のいてしまいそう とライン。

7:13。

いたい、いたいよ

8:13。

いたい いたいよ

断続的にラインが届いた。

言葉は尽くした。せめてもの気休め応援にと、息子との写真を送り続けた。

8:18。

気絶しそう

の言葉を最後に、ラインが完全に途絶えた。

携帯を見る余裕もないのだろう。

写真を送り続けるのを、一旦やめた。

病院内の状況が、全く分からない。

自分の無力さに、涙が出た。

9:00。

ただ、ひたすら待った。祈った。願った。エンジンを切ると車内は灼熱地獄。バッテリーが上がらないよう、エンジンオンオフを繰り返した。今思うと、病院の食堂で待てばよかった。

9:39。

突然、嫁から

産まれたー とライン。

思ったよりもはるかに早くて、そしてメールがあまりにあっさりで、びっくり。

思わず、力が抜けた。

 

母子ツーショットの写真が送られてきた。一人目の息子とそっくりだと思った。生まれたての赤ちゃんなんて、みんな同じ顔なんだけど。

そして、嫁さんの目元には、涙の雫が光っていた。

痛みと励ましで、涙を流しながら耐えたよ。そうラインが来た。

車内からの応援は、たしかに届いていたんだ。少し救われた気がした。

死ぬかと思った。2度、その言葉がラインに入ってきた。

 

コロナと酷暑、この大変な時期に、本当に本当に、よく頑張った。不安や激痛に、よく耐えた。よくやり遂げてくれた。心の底から、褒め労いたいと思った。

 

あとで聞くと、分娩室に入ってから、わずか20分で産まれたらしい。子宮口が5cmから、わずか1分で一気に10cmにまで広がり、今にも出そうになったとか。「でーるー!!」と絶叫し、車イスのまま猛スピードで分娩室に運び込まれた。医師たちも準備ができておらず、応援の医師も駆け付け、大わらわで準備が完了。今にも出そうなのを必死でこらえ、20分で出産したそうだ。一人目のときは分娩室に入ってから4時間半もかかった。それに比べると超スピード出産だったが、その代わり、痛みは一人目のときよりはるかに激痛だったそうだ。医師があたふたしてたのとは対照的に、助産師さんたちは落ち着いており、優しく寄り添って、励まし続けてくれたそうだ。

そんな舞台裏を聞けたのは、夕方になってからだった。そりゃ携帯いじる余裕なんてないわな。

コロナで大変な中、しっかり仕事をして下さった医師や助産師さん、病院のスタッフさん達にも、深く感謝したい。

出産を終えて。5分間の面会に込めた想い。長男に対する想い。

コロナ禍のせいで、立会いも面会も禁止だった。だけど唯一、分娩室を出て個室までの廊下で、1名(旦那)だけ、それも5分間だけ、面会できるという。なので、それまで待つことに。

11:30。

病院に到着してから6時間後。ようやく対面の時が訪れた。

この5分間で、一体どんな言葉をかければいいのだろう。私は考えていた。

しかし、点滴を打たれ車イスで運ばれてきた嫁さん、そして、すやすや眠る、生まれたての小さな小さな赤ちゃんを見たとき。考えていた言葉は吹き飛び、胸がいっぱいになった。

本当に、よく頑張ったね。それ以上は、言葉にならなかった。ただただ、涙がこぼれた。嫁さんも、無事に終わった安堵だろう、大粒の涙を流した。もはや言葉は、必要なかった。

 

親子3ショットを撮ってもらい、赤ちゃんの顔を見ていると、あっという間に5分が経ってしまった。コロナが脳裏をよぎり、マスクを外すのはもちろん、赤ちゃんに触れることもできなかった。何より、今日お兄ちゃんとなった、一人目の可愛い息子を連れてこれなかった。一人義実家でお利口に?留守番してる2歳半の息子を想うだけで、また胸がいっぱいになった。一家四人の集合は、嫁さんが退院する1週間後に取っておこう。

 

人生でもそうそう体験したことのない、濃密な5分間だった。

12:10

腹が減ったので、一人勝利メシ。

そういや一人目のときは、こっそりカツカレーを食べたのがばれ、危うく豚カツにされそうだったんだよな。懲りずにまたカツカレーを狙うが、あいにモーニングしかないので、おとなしくモーニングを食らう。 

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12:30。

各所への報告を終え、長男の様子が気になったので、岐阜の義実家に向かう。

長男と義両親が、笑顔で迎えてくれた。

「女の子はもういい、昨日娘が心配で一睡もできなかった、男の子でよかったね」そう義母は笑った。柔和な笑顔。一昔前では、考えられない光景だった。義実家にはお世話になりっぱなしだ。

ママが夜中入院したあと、朝方に起きた息子は、てっきり嫁さんがトイレに行ったと思い、ずっとトイレの扉の前で座って待っていたそうだ。パパはともかく、ママと離れて寝るのは、彼にとって初めての経験。胸が痛んだ。

お兄ちゃんになった息子よ。あと数日、パパもママもいてやれないけど、じいじとばあばのいう事をよく聞いて、頑張るんやで。私からスマホを取り上げ、ABCや電車の動画に夢中になっている息子に、その思いがどこまで届いているか分からない。だけど、少しでも顔が見れてよかった。 

16:00。

明日から仕事が待っている。息子の昼寝の隙をついて、義実家を出た。目の前で帰ってしまうとギャン泣きするので、やむを得ない措置だ。

空を見上げると、見事なまでの蒼天が広がっていた。

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今日は特別な日だ。私は思わず、走り飽きた名阪国道ではなく、新名神に乗った。プチ贅沢だ。BGMはFUNKEY MONKEY  BABYSの「ヒーロー」。

今日、また一つ、背負うもの、守るべきものが増えた。

家族が増えるって、いいことだ。大変なことも増えるけど、それ以上に楽しみも増えるだろう。そうなるように、頑張っていきたいと思う。

家のローンを抱える2児のパパ。どこにでもいる、ありふれた中年サラリーマン。父ちゃん頑張って稼がんとなあ。

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