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ぞうブロ~ぞうべいのたわごと

妄想を武器に現実と闘う、不惑のエンジニアのブログ

FFX「ザナルカンドにて」のピアノ演奏に、初心者40歳男性が無謀にも挑戦した結果。

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これは、ピアノ超初心者40歳既婚嫁持ち2子持ち家のローン持ちの、どこにでもいるしがない中年男性が、FINAL FANTASY Xの名曲「ザナルカンドにて」のピアノ演奏に無謀にも挑戦し、約一か月後、見事仮免レベルに弾き切るまでの壮絶噴飯ドキュメンタリーである。

なぜ今、ピアノなのか?

NHKで「駅ピアノ」という番組があるのをご存じですか?海外の駅や空港に設置してある誰でも弾いていいピアノを、通りがかった人がサラッと弾く。そして言う。「音楽は人生を豊かにしてくれるのさ」。もう超カッコいいですよね。自分もいつか、「駅ピアノ」に出たいんです。

駅ピアノ・空港ピアノ・街角ピアノ - NHK

ピアノに限らず、楽器を弾ける人って、ものすごくカッコいいし尊敬します。中でも、勝手なイメージですけど、ピアノを弾いている男性って、知的でセクシーじゃないです?つまりモテる。このご時世、このタイミングでしかチャレンジできない。男40歳、誘惑に駆られた不惑の決意。理由は、そんなとこです。

ピアノ経験は?

ピアノを習ったことはありません。楽譜もドしか読めません。実家にピアノがあり、子供の頃、それを適当に触って遊んでいました。実はピアノを習いたかったけど、幼稚園当時、気弱だった私を強くするべく、両親は柔道を習わせていました。なので、ピアノをやりたいとはなかなか言い出せないまま、気づけば大人になりました。もっとも、その後12年間続けた柔道のおかげで、ピアノを練習する体力と、へこたれない精神力は、身に付きました。

なぜ、「ザナルカンドにて」に挑戦したのか?

ゲーム音楽好きな私ですが、中でもドラクエやFFが大好き。その中でも、最も弾きたかった曲が「ザナルカンドにて」でした。物語にマッチした、切なくも美しい名曲。FFX初回プレイ時から魂を揺さぶられっぱなしで、いつかこれを弾きたいと、強く思っていました。
ザナルカンドにて 1時間耐久 【FF10】

調べてみると、「ザナルカンドにて」は、ピアノ中級者向け。初心者が最後までどうにか弾けるようになるまでは2,3か月。美しく弾けるには2,3年かかるでしょう。そんなレビューを目にしました。

嫁さん子供が里帰りしている、束の間の独身生活。期限は1カ月ちょい。コロナのせいでどこにも行けない。だったらこの1カ月で、何とか弾けるようになってやろう。どう考えても無謀でしたが、高ければ高い壁の方が登ったとき気持ちいいもんなbyミスチル。それがきっかけでした。

ピアノと楽譜はどうした?

家を買って半年後、念願の電子ピアノを購入。近所のエディオンで一番安いのをゲット。それでも椅子と合わせて約8万円弱なり。高い。


 

これは未来のピアノマスターへの先行投資だ。あと、ピアノって子供の教育にいいらしいよ知らんけど。そう嫁を説得しました。

 

さらに、ゲーム音楽好き同士ということでSNSで知り合った、耳コピで楽譜を作れるという超人さん。楽譜作りは趣味です。そう淡々と豪語する彼女は、私が「ザナルカンドにて」を弾きたいと言っているのを見て、ササっと素晴らしい楽譜を作ってくれました。

しかし…読めない。まずは楽譜にルビ振り。唯一知ってるドから数えていく。#は半音上った隣の黒鍵盤を弾く。へぇーそうだったのか。基礎の基礎から確認。準備は整いました。あとは練習あるのみ。

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ピアノ練習開始。いざザナルカンドを目指して。

いよいよ挑戦スタート。しかし、おっさんが普通に弾くだけでは、絵的にキツイ。そう思ってると、見つけたのは、部屋の隅に転がっていた、新婚旅行のときヴェネツィアで買ってきた怪しげな仮面。何をトチ狂ったのか、それを装着し、愛用しているiphone6sで動画撮影してみました。いっぱしのユーチューバーになったみたいで、なかなか気分がいい。しかし、後々、この仮面に苦しめられるとは、思いもしませんでした。

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イントロ編(1週間)

右手はなんとかなりそう。だけど、左手が難しい。いわゆる「階段」。動く範囲が広い。だけど、音が合うたび、ゾクゾクしました。早く弾けるようになりたい。焦りにも似た衝動。それはAメロに入り絶望へと変わりました。

前半編(2週間)

Aメロ初っ端から襲い掛かる、右手和音地獄と、左手階段地獄。あまりにも難しく、心が折れかかる。まずは右手の和音を減らし、とにかく弾き切ることに。それでも厄介だったのは、あのヴェネツィアの仮面。視界が制限され、見えにくく、弾きにくい。何より弾いてる姿が変態なので、ご近所さんの視線が気になる。誰だこんな仮面付けて弾こうって言った馬鹿たれは。俺か。

なんとか前半を覚え、弾き切れるように。遠い彼方に、ザナルカンドの影らしきものが見えてきた気がする。よしあと半分だ。しかしそれは幻影でした。後半は、前半をはるかに凌ぐ難度でした。

後半編(2週間)

後半初っ端、挨拶代わりの左手階段地獄version2.0可動範囲UP版。そしてさらに鬼畜度を増した右手の和音地獄ver2.0鬼。トドメは転調攻撃ミスれないというプレッシャーも重なり、その道の険しさはさながら霊峰ガガゼト。こんなん人間には無理でしょ。両手の可動範囲が広すぎて、仮面の視界が狭すぎて、見えない。一体指があと何本必要なのか。仮面の目のとこをもう少し大きくしとけばよかったのか。所詮無謀なチャレンジだったのか。

それでも、1音1音、何度も弾き、両手に覚えこませる。先が見えない中での、地道な作業。センスも経験もスキルもない自分ができるのは、ただ一つ。気合と根性と忍耐で、とにかく身体で覚えること。覚えるか死ぬか。弾くか死ぬか。

ふと、浪人の受験生時代を思い出しました。覚えるか死ぬか。解くか死ぬか。ああ、そういや当時こんな気持ちだったな。そのプレッシャーが懐かしく、楽しくもありました白目。

ひたすら練習し、馬鹿な両手も覚えてくれ、なんとか形になってきました。音を減らしていた前半も、知らない間に弾けるようになりました。よし、ようやくザナルカンドの手前までやってきた。

ここで私は気づきました。そういえば今回の挑戦の達成基準を決めていなかったと。

仕上げ編(1週間)

期限まであと1週間。私は目標達成の基準を決めました。

「2分20秒以内に、ミスなく最後まで弾き切ること」

2分20秒とは、Twitterでの動画アップ制限時間。オリジナルは大体1分35秒なので、制限時間は気にしなくてもよさそう。だけど、途中で何度も止まると、オーバーしてしまう。何より難しかったのは、「ノーミス」という縛り。特に後半。ミスれないというプレッシャーに負け、何度ミスったか。そのたびに、何度自らに放送禁止用語で罵声を浴びせたか。何度自分の両太腿を殴りつけ、何度自分の両手首を切り落としてやろうと思ったか。

気が付けば仕事中も、早く家に帰ってザナルカンドにてを弾かなければならないという強迫観念に囚われていました。あれほど邪魔だった仮面は、いつしか私の戦闘服となり、家に帰ってパンツ一丁で仮面を付け「よし、いっちょやるか!」と気合を入れるのがルーティーンになりました。

そうして迎えた、チャレンジ〆切最終日。

数えきれない失敗を繰り返し、ようやく完成したのが、この動画です。 

本当はもっと滑らかに美しく弾きたかったけど、まあ仮免レベルだしという注釈をつけ、足りないスキルは編集でごまかし、合格としました。自分に甘いのは昔からです。

追伸 そして本免へ

ともあれ、なんとかここまで来れました。諦めずコツコツやってれば、ある程度までは何とかなるもんだと再認識しました。

追伸の追伸 悲願の「駅ピアノ」ならぬ「家電量販店ピアノ」を達成!!!

夢は叶うのですね。駅で弾くには、まだまだ精進が必要です。

 

追伸の追伸の追伸 ついにストリートピアノデビュー!!

ヨドバシカメラ梅田さんのストリートピアノで、夢にまで見たストリートピアノデビューを果たしました!

あのハラミちゃんさんも演奏したピアノで、ザナルカンドにてを弾く。めちゃくちゃ緊張したけど、とても感動しました。

御礼

Twitterで見て頂き、いいねやコメントをくれて盛り上げてくれた皆様。「ザナルカンドにて」という名曲を生み出して下さった植松伸夫大先生。そして、こんな難しい曲をいとも簡単に耳コピし、楽譜を提供してくれたあかさいほうし様。本当にありがとうございました。感謝しております。

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そういえば、この絵もあかさいほうしさんが作ってくれました。まじで一体何者なんだろうか、あかさいほうしさん。まさかスピラの住人?召喚士のガード?あるいは異界の住人?もしかしてシン??そして名前をどこで区切るのだろう。赤祭胞子?赤裁縫士?亜葛西穂牛??謎は深まるばかりだけど、とりあえず神であることに間違いはなさそうだ。重ね重ねありがとうございます。

おわりに。

この1カ月ちょいで、何とかかんとか最後まで弾けるようにはなりましたが、まだまだ仮免レベルです。教習所を出た外の世界では、びっくりするような神々が、あちらこちらで平然と優雅に「ザナルカンドにて」を弾きまくっています。仮免で終わりにはしたくない。どうせなら、澱みなく美しく、感情をこめて弾けるようになりたい。この名曲「ザナルカンドにて」を、自分のものにしたい。そしてその演奏を「駅ピアノ」で披露し、モテるナイスミドルになりたい。

その思いを胸に、これからも「ザナルカンドにて」を頑張ります。

でも正直、他の曲にもチャレンジしたい。真のピアノマスターを目指し、仕事にも子供の茶々にも負けず、おっさんは今日も夜な夜な頑張るのです。

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