ページ コンテンツ

ぞうブロ~ぞうべいのたわごと

妄想を武器に現実と闘う、不惑のエンジニアのブログ

帰省、恩讐の彼方に

スポンサードリンク

ここ数年、実家に帰りたくなかった。

理由は身内のいざこざ。モンスター妹が発端で、ここ10年は揉めている。

今年のお盆もまた、七月くらいからずっと憂鬱だった。

コミュニケーションがだんだん取れなくなり、緩やかに家族の絆は崩壊し、空中分解してしまう。

だけどそれを止められない。どうすることもできない。そう思っていた。

帰らない口実のコロナが愛おしくすらあった。

 

 

帰省の数日前、唯一まともに話せる弟ともメールで喧嘩になってしまい、もうこれはダメだ、帰らないほうがいいと思った。

しかし、実家、弟家族、ばあちゃんへのお土産を高島屋で買い、

当日の朝を迎え、凹んでる僕に嫁さんが

「行くといったのだから行こう。また揉めたら、帰ってくればいい」

と言った。ハラは決まった。

もちろん日帰りのつもりだったので、僕は何も持たずに向かった。

楽しいひとときを過ごしたい。それだけを実家の親にメールした。トラブル勘弁という意味だ。

 

実家に着いた。そして少し驚いた。

殺意と憎悪の塊だった妹から、険が取れていたようにみえたのだ。

でも油断はできない。みんなで昼食を食べて、いつも行ってた地元の川原に向かった。

両親、弟家族、僕家族、そして犬で。

いつもは引きこもって出てこない妹も、一緒についてきていた。

 

子供の頃から過ごした川原。絶景インスタスポット。

家族みんなでここにやって来るのは、いったい何年振りだろうか。

f:id:elep-peace:20220815112106j:image

思い思いで過ごす家族、呑気に泳ぐ犬。

彼ら彼女らを見て、僕は川で水切りをしながら、日帰りではなく、久しぶりに泊まることを決心した。

 

慌てて近所のオークワで着替えを調達。

嫁さんに聞くと、

「もしかしたら、と思って、私と子供たちの着替えは持ってきているよ」とのことだった。さすがであった。

 

夜は、恒例のバーベキュー。

実家に泊まるということで、それに通風の懸念が消えたということで、久々に実家でビールを飲みながら焼肉を頂く。

ちょっと高めの肉に加え、弟の差し入れ、サッポロビール黒ラベルがとてつもなく美味しい。美味しすぎる。親父もいつになく、いやいつも通り、政治に経済に饒舌だ。

そんなどうでもいい大きなニュースよりも、まずはうちの家の問題をなんとかしてくれよ。そんな気持ちは、どこかに吹き飛んでしまった。

 

焼肉をつまみながら、オカンがニヤッと笑ってつぶやいた。

「案ずるより、産むがやすしやろ」

 

僕の知らない間に、実家でも色々あったのだろう。よくない話ばかり聞いていた。

だけど、こと家族の関係に関しては、みんなこのままではいけない、なんとか修復していこうと、そう思っていたんだろう。

100歳になったばあちゃんは、施設に入り、今回会えなかった。

否が応でも、時間は流れる。人や立場は入れ替わっていく。

このままではいけない。みんなのそういう想いが、ご先祖様のアシストで、このお盆に結実したのかもしれなかった。

 

夜。お盆恒例の儀式。

餓鬼さんをお迎えし、お経を唱える。

何年振りかの恒例行事。

その後、甥っ子たちと花火。

f:id:elep-peace:20220815112220j:image

忘れてた温かい気持ちが、徐々に甦ってくる。

 

翌日。僕たちは弟家族と昆虫博物館に行き、田んぼでカエル取りをし、実家の屋根裏部屋に眠っている昔の思い出グッズを引き上げ、買い物をし、、

子供たちの相手は大変だったし、わんぱくな甥っ子に勢い余って蹴られた股間は痛むけど、とても楽しく過ごせた。

 

長い間、辛くて悲しくて、勝手にバラバラに封印していた気持ちが、断片的に戻ってきた。

感情が溢れそうな、胸が満たされそうな、ピリッと引き締まるような、心の奥がほわっと温かくなるような、そんな気持ち。

勝手に自分を追い込み、しばらく無理やり忘れていた感情だった。

 

一泊二日の帰省も終わり。

親父はいつも通り、黙って大量の米をくれた。

オカンはいつもより、嬉しそうだった。

弟には、帰省前の喧嘩を詫びようとしたが、何があったっけ?ととぼけられた。

甥っ子君たちは寂しそうだったが、近い再会を約束した。おじさんは約束は必ず守るのだ。

 

みんなが見送ってくれた。その中に、例の妹もいた。僕は妹に言葉をかけた。

「頑張れよ。元気でな。達者でな。」

なんて言葉をかけようかと考えてたけど、これしか言えなかった。

むしろ、余計な言葉は要らなかったのだろう。

妹は若干きょどりながらも、おう、はい、と、ぶっきらぼうに返事を返してきた。

 

これで、よかったのだ。

帰省して、本当によかった。

両親、弟家族、甥っ子たちに感謝。騒いで盛りあげてくれた息子たちにも感謝。ついでに妹と犬にも感謝。今回は会えなかったけど、先日100歳を迎えたばあちゃんにも感謝。

何より、何とか実家の仲を取り持ってくれた、ご先祖様に感謝。

f:id:elep-peace:20220815112255j:image

自分の家に着き、荷物、貰った米、車で爆睡した子供たちを運び終えた後、僕は久々に奥さんと晩酌した。

おかげさんで帰省できたよ。ありがとう。

そう感謝の気持ちを伝えた。

 

心地よい余韻に浸っていたかったが、疲れ果てた身体にアルコールが回り、一瞬でバタンキューしてしまった。

そして早朝、息子たちに叩き起こされた。

また、日常が始まる。

身体はボロボロだけど、心はどこか軽い。

 

次の帰省は秋。稲刈りと、柿の収穫。

肉体的には結構きついけど、久々に気持ちよく百姓仕事に没頭できそうだ。