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ぞうブロ~ぞうべいのたわごと

妄想を武器に現実と闘う、不惑のエンジニアのブログ

ジョーカーオカンの胃痛治療

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この前の日曜日。胃痛が酷すぎて、やむを得ず両親にヘルプを出した。最終手段のジョーカー召喚。これまでのいろんな経緯もあり、極力親には借りを作りたくない。それにオカンの暴走暴言で、凹んでいる嫁さんを刺激したくない。

なので外でご飯と公園に行こうかな。そう思ってるとオカンから電話。「いまスーパーでご飯買ったから!持っていくで!」遅かった。両親は山のような食材と、御見舞金を持ってきてくれた。

寝ている嫁さんへの挨拶、子供達の相手もそこそこに、オカンは台所でご飯の準備を始めた。「これどこ!あれどこ!」実家同様、フルスロットルで動き回るオカン。とにかく、声がでかい。でかすぎる。横で嫁さんが静養してるのに。僕は思わず、何もしなくていいから、座っててくれと言った。オカンは言い放った。

「ええからお前は黙って座っとき!」

 

昼ごはんを食べ、そろそろ子供達と公園に行こうか…と言いかけると、猛スピードで皿を洗っていたオカンが言った。

「ちょっと待て!風呂とトイレ掃除するで!」

大丈夫やで、そこまでしてもらうのは悪いから…と言い終わる前にオカンの大声が返ってきた。

「こんな汚いことして!何しとんのやお前!ちゃんと掃除せなあかんやろ!嫁ちゃんしんどいんやから!」

いやだから胃が痛くて…など突っ込む気にもならない。大声で豪快に笑いながら、凄まじい勢いで風呂トイレを磨くオカン。まるで何かに取り憑かれたかのように。あるいは日頃の鬱憤を全てぶつけるかのように。つい最近膝の半月板を損傷していた66歳の女性の動きではない。呆気に取られている僕とオヤジ。

見る見るうちに、風呂とトイレはピカピカに。凄いなあ。思わずそう言うと、オカンは笑って言った。

「何年主婦やっとると思っとるんや!」

 

掃除が終わり、両親、子供達、僕で近所の公園へ。4月から長男が通う小学校へも下見。その道中で、嫁さんの前では言いにくかった話をした。嫁さんのがんの話。オヤジがコロナになった話。オヤジが兄弟から遺産の揉め事で裁判を起こされた話。だけど実家の引きこもりキチ妹がついに働き始めた話。実家の弱っていた愛犬(12歳)が元気になった話。

相変わらず実家は色々問題ありすぎる。でもいい兆しもある。そんな中、久々に子供に頼りにされて、オカンは張り切ってくれてるのかな。あえていつも以上の元気を出して気合を入れてくれてるのかな。ふとそう思った。オヤジはコロナの後遺症で咳が出てるけど、沢山話してて、なんだか嬉しそうだ。

 

家に帰ってくると、嫁さんの体調機嫌も良くなっていた。家が綺麗になって嬉しそうだ。晩飯はカレーとおかず沢山、嫁さんの大好きなエビフライ。ついでにお願いして、明日の子供達の弁当のおかずも作ってもらった。両親と僕たち家族でワイワイ食べる晩飯。両親を呼んで家で晩御飯を食べるのは、家を建ててから初めてのこと。でも僕がひそかに、ずっとやりたかったこと。子供達もすっかりじいじばあばが好きになったみたいだ。気がつくと僕の胃痛は消えていた。

 

晩飯を食べ、怒涛の勢いで台所を元以上に綺麗にしたオカン達。帰り際、嫁さんにも「大変やけど、気持ちで負けたらあかんで!」と喝を入れていた。僕には「お前は家のことちゃんとしなさいよ!」と叱咤。嫁さんは笑っていた。嫁さんに笑顔が戻った。

 

家を出て車に乗り込む時、オカンは小さな声で言った。

「きけるなよ」

「過労で体調を崩して倒れるな」という意味の和歌山弁が、心に沁みた。

「ありがとう!」僕は子供達たちと両親を見送った。

本当に助かった。ありがとう。そうラインすると、返事が来た。

「いくらでも こんなことなら お安いご用です
私の 唯一の 得意分野です 困ったら 何時でも いってください ちなみに 明日 雨なので 今夜のうちに 洗濯物 取り込んでください…」

 

親の凄みを感じさせられたひとときだった。子供達はずっと「じいじとばあばのとこにいく!」と言っている。嫁さんも喜んでいる。よかった。来週末、子供達だけ連れて実家に帰ろうかな。今度は手土産を持って、ご飯でもご馳走しよう。

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