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ぞうブロ~ぞうべいのたわごと

妄想を武器に現実と闘う、不惑のエンジニアのブログ

出向先の上司とホテルで一夜を共にした話。

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10年ほど前、前職の自動車部品メーカー時代。顧客のカーメーカーに出向していたときの話。

出向先の上司は、30半ばのゲームが大好きな、氷川きよし氏とキングコング西野氏を足して二で割ったような既婚男性。子供はいなかった。

出向先での仕事は半年程。しかし、顧客に入り込みつつ自社との板挟みになる仕事は、当時若手の私のメンタル的に、とてもきつかった。

でも彼は唯一、私に優しくしてくれた。そう、とても優しく…

 

 

「3人で、ゲーム合宿をしよう」

出向が終わりしばらく経った時。元上司となった彼が、私と、別会社から同じく出向していた元同僚Fさんに、そう連絡してきた。

会社と提携してる保養所(ホテル)があり、そこに懐かしいファミコンとかを持ち寄って、一泊二日、みんなでゲームをしまくろうというものだ。

出向時代、彼はよく私をサシ飲みに誘ってくれたのだが、そこでもゲーム話で盛り上がることが多かった。

彼のゲーム好きは本物なんだな。久々の再会が楽しみだ。私は微笑ましく思った。

 

久々に集まった3人。途中3人でGEOに寄り、中古ソフトを大人書い。私は自宅からスーファミを持ち込み。晩飯は近くのラーメンで済ませ、いざホテルに乗り込んだ。熱い夜の始まりだ。

 

スト2、ファイナルファイト、グラディウス、その他B級ソフト。3人でワイワイ遊んでいると、彼が言った。

「忘れないうちに、風呂に入っておこう。」

私がちょうどプレイしてるタイミングだったので、Fさんが一人で先に風呂に向かった。

元上司の顧客と元部下の協力会社社員が二人、会社の保養所でファミコンに興じる。なんとも奇妙な空間。それでも私は楽しんでいた。

 

Fさんが風呂から戻ってきたとき、彼は言った。

「じゃ、僕達も風呂に行こうか。」

心なしか、彼の大きな目が、より一層輝いたように見えた。

(一人ずつ行くんじゃなかったの?)

私は違和感を感じ始めた。

 

そんなに大きくない浴場。他の客はおらず、私達は2人きりだった。2人並んで身体を洗い、湯船に腰かけた。彼は私の全身を舐め回すように見つめた。

「昔スポーツやってたの?」

ええ、柔道をしてました。そう答えると、彼は目を細めて言った。

「いい身体してるねぇ」

身体だけではなく、彼が私の股間をチラチラ見ているのが、嫌でも分かった。心なしか彼の顔が上気し、頬が赤らんでるように見えた。

しばし話した後、私はその空気に耐えられず、じゃあ先に上がりますねと、逃げ出した。背中と尻に、熱い視線を感じた。

 

部屋に戻ると、Fさんが身支度をしていた。仕事でトラブル発生のため、急遽帰ることになったらしい。

「F君帰っちゃうの?残念だなぁ。」

振り返ると、風呂から上がってきた浴衣姿の彼がいた。髪が半乾きの彼はニコニコ笑い、私を見つめた。思わず私は震えた。

こうして私は彼と二人、ホテルで一夜を共にすることになってしまったのだ。

 

平静を装い、ゲームの続きをする。しかし距離がグッと詰まったように感じる。彼の浴衣の胸元がはだけている。心なしかボディタッチが増えた気がする。話すたび、吐息が顔にかかる。 

 

今思えば、普通にお泊まりデートだ。私にそっちの気はない。でも、彼は果たしてどうか。いつ押し倒されても不思議じゃない、極めて危険な状況が続く。

とはいえ、お世話になった元上司だ。顧客のキーパーソンでもある彼の求めに応じれば、会社にも恩恵があるだろう。自分も出世できるかもしれない。ここまでが出向先での仕事ということなんだろう。

仕事では貢献できなかったけど、私の身体が役に立つのなら。大人の階段を登る時か。

私は、ひそかに覚悟を決めた。

 

そのまま極度の緊張状態が続いた。夜中までゲームをしていたが、結局彼は眠ってしまった。しかしいつ寝込みを襲われるか分からない。私は眠れない夜を過ごした。

 

翌朝の朝食。周りは皆カップルか家族連れ。そんな中、浴衣姿の大人の男が二人で朝飯。周囲の視線が刺さった。朝ご飯を食べながら、彼はニコッと笑って言った。

「昨日、先に風呂上がっていったでしょ。寂しかったな。」

恨めしげに私を見つめる大きな瞳。ゾワっと鳥肌が立つのが分かった。

「あなたに寂しい思いをさせて、ごめんなさい。今から二人で、朝風呂に行きましょう。そこで昨夜の続きを…」

そんな気の利いたことが言えるはずもなく、私は黙って苦笑いしていた。

またやりましょうね。そう言い合い、私達は宿を後にした。

 

あれから、彼とは会っていない。何度か仕事で電話したが、妙に当たりがキツくなった。

あの時抱かれていればよかったのかな。当時は割と本気で、上司に相談しようと考えていた。

 

某社会派インフルエンサー女性モデルの衝撃ニュースを見て、ふと呼び起こされた記憶でした。

彼に当時の気持ちを聞いてみたいが、今更聞かない方が皆幸せだ。でもFさんには言いたい。なぜ私を見捨てて帰ったのか。彼に帰れと言われたのか。その辺小一時間問い詰めたい。そして今後こそは3人で、ゲーム大会やれたらいいな。やっぱ怖いな。